回復期病棟看護師の役割と仕事内容!やりがいやメリットを解説♪

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回復期病棟への転職を考えているけれど実際の仕事内容が知りたいな。

回復期病棟看護師の役割とやりがいを知りたい。

回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)は急性期病棟のように医療的処置や検査に追われることがなく、リハビリのために入院されている患者様の生活援助が中心でじっくり関わることができますよ。

看護師が働く病院にはさまざまな種類があり、そのなかの一つに回復期病棟があります。自分に合った職場を見つけるためには、病院の種類や役割・看護師の仕事内容を把握することが必要です。

私は回復期病棟で10年勤務し、主任看護師としてスタッフの教育や相談に携わった経験があります。じっくり患者様や家族と向き合うことができる回復期病棟は大変やりがいのある職場ですよ。

当記事は回復期病棟の仕事内容、看護師の役割、回復期病棟で働くメリット・デメリットについてリアルな情報が手に入りますのでぜひ参考にしてください。

目次

回復期病棟は集中的にリハビリをして在宅復帰を目指す

回復期病棟は、脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの疾患で急性期の治療を終えても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、集中的なリハビリテーションを実施します。

患者さんを9つの専門職種でサポートし心身ともに回復した状態で、自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟です。

治療を終えても後遺症が残っているので自宅での生活が不安です。

回復期病棟の対象となる疾患を次に紹介しますね。

回復期病棟は対象になる疾患と入院期間が決まっている

回復期病棟はどんな疾患でも入院できるのではなく、対象となる疾患と入院できる期間が定められています。

回復期病棟でリハビリを要する状態であると認められれば入院できますよ。

回復期リハビリテーションを要する状態と、算定上限日数は以下の表を参考にしてくださいね。

回復期リハビリテーションを要する状態算定上限日数
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後もしくは手術後の状態、又は義肢装着訓練を要する状態150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷180日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態90日
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態90日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経、筋又は靭帯損傷後の状態60日
股関節又は膝関節の置換術後の状態90日
急性心筋梗塞、狭心症発症その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態90日
資料出典:厚生労働省告示 第55号 2022年度改定

入院できる上限日数も疾患によって異なるのが特徴です。

回復期病棟の役割は患者さんと家族が在宅復帰を支援

回復期病棟に入院した患者様に対し、各担当スタッフがチームを組み入院直後から寝たきりにならないよう日常生活動作(ADL)へ積極的に働きかけて改善を図り、在宅復帰を支援します。

  • 起きる
  • 食べる
  • 歩く
  • トイレへ行く
  • お風呂に入る
  • 着替える

回復期病棟では患者さんの状態に合わせて1日最大3時間のリハビリを実施しますが、訓練時間以外の日常生活動作も全てリハビリになります。

厚生労働省によって1日最大9単位=3時間(1単位=20分)まで認められています。

長時間リハビリを続けるのが難しい場合、1回のリハビリ時間を20分や40分と数回に分け、長時間リハビリに取り組める場合は、60分を3回行うなど患者さんの状態に合わせます。

回復期病棟のメリットは最大3時間のリハビリ訓練のみではなく、起床から就寝までの1日を通し、食事や更衣、歯磨きや整容、排泄などの日常生活動作も含めた生活全てをリハビリととらえたサポートが受けられることです。

夜間の排泄補助も含め、24時間365日の手厚い看護が大きな特徴です。

他にも、安心して在宅復帰できるように、入院中に患者さんと一緒にご自宅へ伺い、家庭内の改修・補助器具導入の調査や自宅の段差などに合わせて強化したい訓練の見極めを行う自宅訪問があります。

また、退院後利用できる介護保険申請のお手伝いや各種サービスの調整など、在宅復帰に向けてさまざまな取り組みを行っています。

回復期病棟は9種の専門職がチームで患者さんを支援

回復期病棟で働くスタッフはチームを組んで患者さんと、家族をサポートし在宅復帰を目指します。

出典:回復期リハビリテーションnet

医師をはじめとした9職種が患者さんと家族を中心に連携をとって手厚くサポートするのが特徴です。

回復期病棟看護師の役割はチームの調整役

回復期病棟看護師は先に紹介した職種と協力し患者さんや家族をサポートします。特に看護師は昼だけでなく夜も患者さんの生活をサポートするため最も身近な存在です。

事例:日中の排泄は見守りのみで動作は自立しているAさん、夜間は睡眠剤服用しているためふらつきがつよくポータブルトイレへの移乗動作に中等量以上の介助が必要です。

夜間の状況を把握できるのは看護師ですから、睡眠剤をふらつきにくいものに変更できないか医師に相談したり、ポータブルトイレの設置場所や介助の方法をセラピストに相談したりすることで夜の排泄ケアの向上を図れます。

患者さんのADL援助のみではなく、在宅復帰に向けて課題となる点について医師やセラピスト、ソーシャルワーカーなどに相談します。

看護師が他職種や家族との橋渡し役を上手に調整できれば、患者さんの回復する力を最大限サポートできるでしょう。

回復期病棟看護師の仕事内容は看護師業務以外もある!

私の勤務している回復期病棟の日勤業務を紹介します。

日勤業務
  • 情報収集
  • 申し送り
  • 検査送迎
  • バイタルサイン測定
  • 処置
  • 記録
  • 昼食配膳
  • 食事介助
  • 与薬
  • 昼食下膳
  • カンファレンス
  • 退院指導
  • 環境整備
  • 入浴介助
  • 更衣介助
  • 排泄介助
  • ナースコール対応
  • 電話対応
  • 入院受け
  • 退院後のベッド片付け
  • 配茶

看護師不足もありますが、看護助手さん不足も重なり看護師が入浴介助や配茶、退院後のベッド片付けなどを担っているため看護記録入力が時間内にできないなどが課題です。

看護師業務以外の仕事が多いかどうかは勤務する病院によってもかなり違いがあると思うので、上記の仕事内容は参考程度にしていただくのが良いでしょう。

まだ移動手段が自立していない患者さんの場合、ジュース購入や入院費支払いなど棟外への移動は付き添いも必要です。

認知症の患者さんで常時見守りが必要な場合、スタッフが付きっきりで対応が必要なこともあります。

朝1日の予定を組み立てて勤務しますが、患者さんの体調や突発的な予定が入るためなかなか思い通りに業務が進まないのが現状です。

やりがいは患者さんの自宅退院をサポートできたとき

回復期病棟で勤務していちばんやりがいを感じるのは、患者さんと家族が望むかたちで在宅復帰や社会復帰がかなったときです。

最初回復期病棟に入院されたときは寝たきりだった患者さんが、リハビリを通して歩行できるようになって退院されるのを見ると本当に嬉しいです。

順調にリハビリが進み回復する患者さんや、思うようにリハビリが進まず精神的不安定になる患者さんや家族の協力を得られない患者さんなどいろいろなケースがあり、スタッフも悩みながら伴走します。

いろいろな患者さんとの出会いでわたしたちが教えていただくことがたくさんあり、毎日とても充実して働くことができますよ。

回復期病棟でやりがいを感じるとき
  • 患者さんが望む在宅復帰ができたとき
  • 在宅復帰が困難なケースでも、サービスを利用し在宅が可能となったとき
  • 患者さんが回復される過程をみれる
  • 3ヶ月〜最大6ヶ月じっくり患者さんと関われること
  • 在宅復帰後患者さんが元気な姿で病棟にあいさつに来てくださったとき

メリットは新しい知識や経験を得て視野が広がること

回復期病棟で勤務するメリットは急性期の治療を終えた患者さんが、どのように社会復帰や在宅復帰をされるのを学び、サポートできることです。

具体的なメリットを下記にまとめました。

回復期病棟で働くメリット
  • 急性期病棟とは違って患者さんの病態が落ち着いているので穏やか
  • 他職種協働で患者さんをサポートする魅力がある
  • 患者さんの入院期間が長いためじっくり関わることができる
  • 家族とのコミュニケーションを学べる
  • ADL介助についてセラピストから学べる
  • ケアマネや訪問看護、訪問介護などの外部のサービス提供者とも関われる

一つづつ説明しますね。

急性期病棟と比較し点滴や検査など看護師業務が少ない

患者さんは急性期の治療を終えて安定してリハビリが可能な状態で入院されるため、点滴や検査などの医療的処置は少ないので落ち着いています。

急変や緊急入院がないため1日の業務を予定しやすいため働きやすいのが特徴ですよ。

子育て中のママさんが多いので、時短勤務や子どもの発熱など急な休みにも理解があり働きやすいと感じます。

休憩中は子育ての悩みも相談できるので心強いです。

違う職種が協力して患者さんをサポートするのが楽しい

先述したように回復期病棟では9つの職種で患者さんをサポートするので、看護師だけの視点ではなく他の職種の考え方やアプローチを学べて視野が広がります。

日々の業務やカンファレンスを通して他職種とコミュニケーションを図り、時には衝突しながらも「患者さんに良くなってほしい」という共通の想いで働けるのは魅力ですね。

患者さんはリハビリが辛いことを看護師に打ち明けてくれて傾聴する、逆に看護師の対応が嫌だったとじっくり1時間訓練してくれるセラピストに相談することもあり情報共有して対応を検討することもあります。

患者さんの社会的背景のサポートはソーシャルワーカーさんが大活躍です。

入院期間が長いため心身ともに手厚いサポートが必要

入院期間が長いため身体的なサポートだけでなくリハビリが思うようにすすまない、自由に動かない身体にイライラするなど心理的サポートも重要です。

入院期間が短ければ我慢できることも、入院期間が長くなればなるほど不満やイライラが募り看護師やスタッフに強くあたってしまう患者さんもおられます。

焦らずリハビリと向き合えるように言葉をかけ、精神面でサポートし明るく支える姿勢が看護師には必要ですね。

患者さんの心理サポートした事例
  • 飼い犬が心配で退院したいという患者さん→病院の駐車場で飼い犬と面会できるように設定
  • 認知症で不穏になる患者さん→お気に入りのぬいぐるみを家族に持参してもらう
  • 入院食が進まない患者さん→家族に持ち込み食を依頼

患者さんがリハビリに取り組めない状態のとき、どうしたらリハビリに前向きに取り組めるようになるのかあれこれ考えてサポートするのもやりがいです。

家族とのコミュニケーションは在宅復帰成功のカギ

入院してリハビリするのは患者さんですが、看護師をはじめとしてスタッフは家族とのコミュニケーションも大切にしています。

患者さんと家族が良好な関係の場合もあれば、そうでない場合もあります。患者さんと家族の関係性を把握して退院支援していくことが重要です。

障害や医療的処置が必要な状態で在宅復帰するなら家族のサポートが必要です。

入院時から家族とコミュニケーションをとることを意識し、リハビリの進行状況や患者さんの日々の様子などをこまめに伝えると良いですよ。

普段から家族とコミュニケーションがとれていると、何か問題が生じた時に家族と一緒に対応できますが、コミュニケーションが取れていない場合、不信感につながったり協力を得られないことがあります。

セラピストから身体への負担が少ない介助方法を学べる

回復期病棟に入院当初の患者さんはADLの介助量が大きく、看護師の身体への負担が大きいため慢性的な腰痛を訴えるスタッフも多いのが現状です。

特に車椅子への移乗や起き上がり介助は特に負担が大きく、我流で介助を繰り返していれば身体を壊してしまいます。

ボディメカニクスを活用した介助方法についてセラピストに勉強会を依頼したり、介助困難な患者さんの介助方法を実際に見せてもらったりすることで普段の介助が楽になりました。

介助方法を習得するのも立派なスキルね。

ケアマネジャーなどの在宅サービス提供者と関われる

患者さんの多くは後遺症や医療的処置を必要とするため、家族のサポートだけでは在宅復帰が困難であり在宅サービスを利用することが多いです。

回復期病棟看護師は、自宅復帰に向けできるだけ医療処置が少なくシンプルになるよう主治医と相談し在宅につなげます。

患者さんと家族に退院指導をし、自宅でも合併症を予防し退院後の生活を継続できるよう入院中にケアマネージャーや訪問スタッフとカンファレンスし情報共有します。

入院を繰り返している患者さんは、在宅スタッフからの情報提供もとても参考になります。

まとめ

  • 回復期病棟は急性期病棟のように医療的処置や検査に追われることがなく、リハ生活援助が中心でじっくり関わることができる
  • 脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの疾患で急性期の治療を終えても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、集中的なリハビリテーションを実施する
  • 回復期病棟はどんな疾患でも入院できるのではなく、対象となる疾患と入院できる期間が定められている
  • 患者さんの状態に合わせて1日最大3時間のリハビリを実施し、訓練時間以外の日常生活動作も全てリハビリ
  • 回復期病棟で勤務していちばんやりがいを感じるのは、患者さんと家族が望むかたちで在宅復帰や社会復帰がかなったとき
  • 9つの職種で患者さんをサポートするので、看護師だけの視点ではなく他の職種の考え方やアプローチを学べて視野が広がる
  • 入院期間が長いため身体的なサポートだけでなくリハビリが思うようにすすまない、自由に動かない身体にイライラするなど心理的サポートも重要
  • 看護師をはじめとしてスタッフは家族とのコミュニケーションも大切にしている

急性期を脱して生命の危険は乗り越えたけれど、在宅復帰や社会復帰に向けてリハビリを必要とする患者さんにとって回復期病棟はなくてはならない場所です。

回復期病棟看護師の役割は、患者さんにリハビリに前向きに取り組んでもらえるよう精神的心理的サポートをすることです。

回復期病棟は患者さんの今後の生活について真剣に向き合い、他職種でサポートできるので日々学びがあるとても魅力的な職場ですよ。

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この記事を書いた人

回復期リハ認定看護師です。看護師歴20年急性期病棟、回復期病棟、療養型病棟、派遣で老人保健施設、デイサービス、特養の経験があります。回復期病棟を10年経験し主任としてスタッフの教育や相談に携わっています。回復期病棟は3ヶ月〜6ヶ月患者さんや家族とじっくり向き合うことができてとても働きがいのある職場であることを発信していきます。プライベートでは4人の子育て真っ最中です。

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